株式会社The CAMPus BASE

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Jan. 29 2022

世界を " 農 " でオモシロくする。エキサイティングな農ライフで「農」と人の豊かな暮らしを目指す

 

いまの仕事を維持しながら、クールな農家になる方法

「農は現代社会でもっともエキサイティングな生き方だ」。そうアツく語るのは、小規模農のプラットフォーム「The CAMPus」を主宰する井本喜久さん。「The CAMPus」では農メディアおよびスタートアップに特化した農スクール事業、地域コンサルティング事業を展開する。小規模農の魅力は?と問えば、「暮らしに紐づいた商いをデザインできるところ、自分なりの規模感で循環型社会を実現できるところ、そして食いっぱぐれないところ」と、井本さん。「農は自分が生きていく上で礎になるもの。掘って、掘って、掘り続けても、その奥にまだまだ知らない世界がある。終わりがなくて、だから面白い」

自身は広島県竹原市田万里の農村出身。祖父や父が農業に従事するさまを間近にしながら幼少期を過ごしたが、農業に興味を抱くことなく広告業界へ。26歳で独立、東京でブランディングを生業としてきた。そんな井本さんが農に傾倒したきっかけは、家族の健康問題だった。まず妻が病気になり、健康的で本質的な食のありかたを模索するようになる。食の基盤となる農業への探究心が芽生えるなかで、今度は父が亡くなり故郷の農地を継ぐことに。「田万里は棚田が点在する農村で、人口はおよそ360人。70代が若手と呼ばれる限界集落です。『継いだ』といっても日帰りで立ち寄って、必要な作業をするだけ。僕にとっては通り過ぎる場所に過ぎなかった」

その考えをあらためたのは、2018年に西日本豪雨で被災した地元農家を助けるために行ったボランティア活動だった。田万里の寺に寝起きして土地の人と触れ合った2週間。井本さんにとってはじめて地元と向き合う経験だった。この経験は田万里へのイメージを大きく変えた。ただ通過するだけだった田舎町は、実は日本の田舎の原風景とも呼ぶべき、懐かしくてほっとする魅力的な農村だった。何もないように見えて、集落のあちこちに昔ながらの営みや、先人たちの生活の知恵ともいうべき創意工夫が溢れていた。

「要は、『農』という文化価値のフィルターをかけることで田舎の農村が魅力的に生まれ変わる。その可能性を見出したんです」まずはこの地域を活性化させよう。こうして耕作放棄地を借り上げて農地として再生する活動を本格的にスタートさせたのである。

 

 

農的暮らしと農的商いを両立させてみたら

2017年、「世界を農でオモシロくする」を掲げて「The CAMPus」をローンチ。立ち上げにあたり全国のクリエイティブでインディペンデントな農家の取材に出かけた。ピックアップしたのは、楽しそうで健康的で、きちんと儲かっていて、なによりもかっこいい農家。井本さんは尊敬の念をこめて彼らを「変態農家」と呼ぶ。この「変態農家」たちの営みが井本さんを大いにインスパイアした。自給自足しながら持続可能な暮らしを探求し、「農ライファー」を自認する淡路島の菜音(ザイオン)ファーム、マクロビの大家として知られる千葉のブラウンズフィールド……。各地で彼らと農作業を体験し、畑から収穫した食材で郷土料理を味わい、農に紐づく暮らしを楽しみながら、そのプロセスをどうビジネスに変換するか模索する。そうするうちに、100の農家に100通りの哲学があり、その哲学や価値観にはいわゆる“農業”とは全く別の軸があると思い至る。

「農というのはある種の文化価値。これには“暮らし”と“商い”という2つの側面があります。この“商い”の部分だけを切り取ったものが農業。けれども本来、“暮らし”と“商い”はセットであるべきで、“商い”だけに特化した農業はいまの時代に取り残されつつある。『変態農家』たちに学ぶなかで、畑や田んぼを媒介に“暮らし”と“商い”が密接に結びついているコンパクトな営みが、次世代に誇れる持続可能なライフスタイルだと思うようになりました」

自然の摂理に従って農的暮らしと農的商いを無理なく両立させるコンパクト農ライフなら、都会に暮らしながらの兼業だって可能だ。都市が新しいことにチャレンジする実験の場なら、農村は自然との調和を教えてくれる学びの場。いわば進化と継承であり、人間にはこの両輪が必要なのだ。「だからこそ、都市生活者に農ライフを経験してほしい」

 

 

都会のビジネスパーソンにとって、農村はチャンスの宝庫だ

自然の摂理に従って無理なく“暮らし”と“商い”を両立させる、コンパクト農ライフ。その実現のために都市生活者が行うことは?「まずは行きつけの農村を持ちましょう。そして現地に仲間を作りましょう。そこで農村の面白さを発見したり、暮らしてみたいと思ったり、農業の可能性を見出したら、週末だけのお試し農ライフを実践してみてください。だって農村はチャンスの宝庫、特にビジネスパーソンならこれにチャレンジしない手はない」

とはいえ、経験も知識もコネクションもないなかで、兼業とはいえ農家になれというのは無理な話。井本さんはブランディングプロデューサーとしての立場から、「まず、出口を設計せよ」という。「多くの人は農家になるというと農地をどうしよう、そこから考えると思う。でもブランディング視点で考えると、就農の前にやるべきことはブランドを作ること。どういうブランドにするのか、ターゲットは誰か、どう売るのか。出口を先に設計するんです」少量多品目のコンパクト農家なら顔の見える人にだけ販売するスタイルでも収益を出すことができる。知り合いの農家の作物を加工してブランド化し販売するサイドビジネスを始めておき、就農の基盤とするのもいいだろう。つまり出口さえ整えておけば事業はコントロールできるのだ。

都市暮らしを維持したままコンパクト農ライフを自ら実践して都市生活者に発信することで、都市と農村のつながりを促し、新規就農者を増やし、農村を活性化させる。井本さんがその先に見据えるのは、全国に点在する農村の再生と持続可能な社会の実現だ。「都市生活者に農村の本質的な魅力を知ってもらい、都市と農村をつなげる新しいライフスタイルをつくります。儲かる新規就農者を作り、農村を活性化し、耕作放棄地の再生を行います。田万里の事例を他の地域にもあてはめて、いずれは全国にある40万haもの耕作放棄地をゼロにしたい」

井本さんが目指すコンパクト農ライフは、これからの時代の生き方の、ひとつの指標になるはずだ。

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