株式会社トーチ

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Nov. 14 2022

つくってゆかいに暮らす。
どこに住んでも、誰もが豊かに暮らせる
新しいビジネス。

 

東京と故郷の間に感じた大きな格差

東京に代表される大都市圏と地方圏の間にある地域格差。所得、人口、インフラ、文化……地域格差から生まれる問題や課題を、コミュニケーションやコミュニティの力で解決していこうと考える事業家がいる。北海道で株式会社TORCHを運営するさのかずやさんだ。

さのさんは北海道の東端、オホーツク海にほど近い遠軽町の出身。工学部で機械工学を学んだ後、大手広告代理店の営業職へ。その後、岐阜県にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)でメディア表現やローカルコミュニケーションを学び、現在は札幌市に在住しながらブランド開発やマーケティング、新規事業開発に携わっている。

さのさんが初めて実感した地域格差は、東京と地方圏の就職事情の違いだった。「高校の同級生たちは卒業後、自衛隊に入隊するか専門学校に進学するかが一般的。一方、東京の広告代理店の同期たちには大学を卒業したら大手企業に就職するのが当たり前という感覚がありました。生まれ育った環境や教育への意識の違いを感じるとともに、そこに生じる賃金やチャンスの差、文化的な格差を目の当たりにしたんです」
とはいえ、地方と都市圏、どちらの感覚も体感している人は少なく、多くの人にはその格差が見えていないことにも気づく。
「自分の生まれ育った街で暮らしたくても、そもそも地方では好きな仕事に就くチャンスが圧倒的に少ない。そんな現実を前に、この格差をなくして地方での暮らしが東京よりも楽しいと感じられるような社会にしていきたい。そう考えるようになりました」

大学院修了後は東京に戻り、フリーランスとしてスタートアップ企業の立ち上げや大手メーカーの新規事業の開発に携わっていたが、その傍ら、北海道でローカルメディア『オホーツク島』をスタート。さらに民泊「オホーツクハウス」の運営にも取り組んだ。そんな流れから一昨年には一念発起し、札幌への移住を決意。
「北海道の地方圏のことはわかってきていましたから、今度は北海道の都市圏を知ろうと思ったんです」

 

大切なのはリアルなコミュニケーション

札幌では北海道のさまざまな地域でものづくりに従事している人やユニークな活動を行っている人と有機的に関わりながら、これまでの経験やスキルをいかし広告制作やブランディングといった領域でクライアントワークにチャレンジした。しかしこれがなかなか難しい。「プロジェクトの規模が東京の1/5〜1/10程度。業務内容やボリュームは東京でやることと業変わらないのに、ぜんぜん稼げない。地方に来て、東京と同じ方法で仕事をし続けることは現実的でないと悟りました。そこで東京でのやり方を捨て、一から仕切り直すことにしたんです」

北海道で持続的、発展的に事業に取り組むなら自分の事業を起こすしかないと思い至り、デザインやメディアをからめたブランドづくり・事業開発へと舵を切る。本格的な始動から半年しか経っていないが、北海道のクリエイターを支援すべく、作品発表の場となる文化的スペースの創設や、オホーツク海沿岸にある水産加工・卸の会社の事業承継を進めている。

ローカルに拠点を置いて自らの事業を行うなかで、その発信の方法も変化してきた。「インターネットを介してどこにいてもさまざまな情報を受けとれるから、地域格差はなくなる」と言われていた時代もあったが、情報にまつわるコミュニケーションは人が多く集まる都会で生まれることが多かったことから、むしろ都会と地方でコミュニケーション格差・情報格差が広がった。そうした背景を踏まえてどう発信し、仲間を作り、ローカルコミュニティを作っていくか。「いくら価値がある情報を発信しても、受け取り手に届かないなら意味がありません。マスメディアからSNSへと発信のプラットフォームが移り変わる中で、いずれは発信よりも、発信という活動を通して関わる人を増やしていきコミュニティを作っていく方向へ変わっていくだろうと考えていましたが、実際にその通りになっています」

さまざまな発信活動のなかでさのさんがとりわけ大切にしているのが、リアルなコミュニケーションだ。コミュニケーションの方法もますます多様化しており、最近では密度のある情報をインターネットで発信することも可能だ。それでもリアルに会って話すことを重視している。「コロナをきっかけにフルリモートで仕事ができる環境が整いましたが、その反面、顔を突き合わせて行う密度の高いコミュニケーションの必要性を、あらためてみんなが感じている」

仲間を作り、コミュニティを成長させる近道は、昔ながらのコミュニケーション方法なのだ。

「つくってゆかいに暮らす」ために

さのさんがTORCHを設立する前から掲げている目標が、「どこに住んでいてもつくってゆかいに暮らす」である。ものづくりやクリエイティブを生業にしながら地方で思ったような暮らしを送ることは、都会に比べて圧倒的にハードルが高い。ものづくりで生きていくためには自分がいいと思うものに共感してくれる人を増やさなければいけないが、そもそもその母数が少ないからだ。
「つくりたいものをつくり続けられることは幸せですよね。けれど売れるためのものづくりをしなくてはいけないことも多々あります。だから、ものづくりにまつわる幸せな状態を地方でつくることに貢献していきたい」

「つくってゆかいに暮らす」ための答えはまだ見つかっていないけれど、東京とはまったく違う方法、地方だからこそ成り立つやり方のなかに答えを導くヒントがあると感じている。自分の事業を起こし、「楽しそう」「そこに参加すると何かが起きそう」というワクワク感を伴った情報を発信し、共感をもった人たちとリアルに対面して密度の濃いコミュニケーションを重ねる。そうやってコミュニティを成長させるなかで、「つくってゆかいに暮らす」流れが起きるのではないか。

「“移住”や“多拠点”という言葉は、都会に暮らすことが普通で地方で暮らすことはどこか特別という認識から生まれた言葉だと感じる」とさのさん。東京で暮らすことも地方で生きていくことも、どちらも当たり前という感覚が根付く社会では、「都会でしかできない仕事」「地方では需要のない仕事」という地域間のフィルタは存在しなくなるはずだ。

住みたい場所で希望の仕事を続けて生きていけるように。
さのさん、そしてTORCHのチャレンジははじまったばかりである。

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